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ブログ

投稿日:2023.1.22

矯正治療で親知らずの抜歯は必要か?(その1)

こんにちは。渋谷矯正歯科の歯科医師、髙田です。
今回は、矯正治療と親知らずの抜歯の関係について説明していきます。
親知らずの抜歯が必要なケース(その1)と、
親知らずを抜歯しなくても良いケース(その2)の2回の内容に分けて説明致します。

矯正治療を始める前に親知らずはどうするべき?

「矯正治療を始める前に親知らずを抜いたほうが良いですか?」と患者様からよく質問されます。
矯正治療をする多くの方が疑問に感じているのではないでしょうか。
基本的にお口の健康を阻害しているかどうかが親知らずを抜く判断基準となります。
親知らずが正常に生えていて、機能的であるかも重要なポイントです。
口腔内の環境や親知らずの状態、顎骨や歯並びは人それぞれ違いがあるため、
その方のお口の状態によって診断が異なります。
また、歯科医師の治療方針によっても変わることがあります。

親知らずってどんな歯?

親知らずは、10代後半から20代前半に生える一番奥の大臼歯です。
第三大臼歯や、智歯とも呼ばれています。
「親知らず」という呼び名は、親に知られることなく成人してから生えてくるということが由来です。
乳歯が完全に永久歯に生え変わり、顎の成長が終わった後で遅れて萌出してくるため、何かとトラブルを起こしがちな歯です。

親知らずが起こすトラブル

  • ・腫れて痛みが出る
  • ・虫歯や歯周病の原因になる
  • ・汚れがたまりやすく清掃しにくい
  • ・口臭の原因になる
  • ・隣接歯も虫歯や歯周病に罹患しやすい
  • ・歯列不正や不正咬合を引き起こす
  • ・機能的に噛み合っていないまたは噛み過ぎている
  • ・顎関節症の原因になる

親知らずは埋伏したまま生えてこなかったり、先天的に無かったりということもあります。
生える向きや本数も人によって全く異なります。
そのため、抜歯するか、しないかの判断は、その方の親知らずの状態で変わります。

親知らずが腫れた時の症状

親知らずの炎症を歯科では智歯周囲炎と呼びます。
親知らずの周囲は汚れがたまりやすいため細菌が増殖しやすく、一度腫れると再発も起こりやすくなります。
下記のような症状を感じたときはできるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。

  • ・口が開けにくくなる
  • ・食事が噛めなくなる
  • ・リンパが腫れる
  • ・膿が出る
  • ・発熱する
  • ・歯ぐきが腫れる
  • ・ズキズキと痛む

矯正治療前に親知らずの抜歯が必要なケース

①トラブルがすでにある場合

親知らずは、痛みや腫れが一度落ち着いても繰り返し再発することが多くあります。
歯磨きがしにくく、清掃不良になりやすいため、隣接する歯も巻き込んで虫歯や歯周病に罹患するリスクも高いです。
また、すでに虫歯や歯周病に罹患している場合も、トラブルの元になります。

矯正治療では、ブラケット装置やワイヤーを使用するので、できるだけ口腔内の清掃性が良い状態を維持することが大切です。
親知らずが腫れて痛みが出てきた場合、すぐに抜歯することができません。
炎症が強い状態では麻酔が効きにくく、抜歯後の腫れや痛みが出やすいためです。
抜歯の前に一度投薬や消毒などで炎症を落ち着かせる必要があります。
痛みが引いた後、親知らずを抜かずにそのまま放置しておくと、疲れている時や体調が崩れた時に、
痛みや腫れを繰り返すリスクがあるので、矯正治療を始める前に抜歯をする方が望ましいです。

②矯正治療の進行を阻害してしまう場合

近年、食事に柔らかいものが増えたことで現代人の顎の発達が退化していると言われています。
発達が未熟な小さな顎には歯が並ぶためのスペースが不足して
正常な位置に歯が並びきれず、不正咬合になりやすくなっています。

歯列矯正をスタートさせる時に、顎が小さくて歯を並べるスペースが確保できない場合があります。
特に後方に移動が必要な治療では、一番奥にある親知らずが歯を動かす妨げになっていることがあります。
また、前歯を下げ、口元を後方に移動させていく矯正では、小臼歯などの健康な歯を抜くことで、
移動スペースを確保してから歯列矯正を行います。
親知らずが残っていると、親知らずの生えてくる力が前方の歯に力が加り押してしまうことがあるため、
せっかく健康な歯を抜歯して作ったスペースを失ってしまうことがあります。
このように矯正治療を妨げてしまう場合も、先に親知らずを抜歯した方が歯列矯正をスムーズに行うことができます。

③後戻りのリスク要因になる場合

矯正治療後に親知らずが生えてきて、歯列を前方に押す力が加わることで、歯並びを後戻りさせてしまうケースがあります。
後戻りとは、改善した歯並びが再び、前に出てきたり、重なってしまうなどの元の歯並びが悪い状態に戻ってしまうことです。
特に奥から押してくるような向きで生えている親知らずは、矯正後の後戻りを起こす可能性が高いです。

④矯正前に親知らずを抜く歯並び

1.上顎前突

出っ歯 

「出っ歯」と呼ばれている歯並びです。
前歯、及び上顎が前に出ている状態を正常な位置に戻すために矯正治療で口元を後方に下げることが必要な歯並びです。
前歯を下げ、口元を後方に下げるための後方移動のスペースをとる必要があるため、
矯正治療を始める前に親知らずの抜歯が望ましいです。

2.開咬

開咬のイラスト

奥歯がしっかり噛んでいる状態で、前歯に大きく隙間があいてしまう状態を開咬といいます。
「オープンバイト」とも呼ばれています。
軽度な開咬は例外ですが、中等度~重度の開咬を改善するためには、
歯列を移動するスペースを作るために健康な歯を抜くことがあります。
この場合は上下の健康な小臼歯を抜くことが多く、前方に出ている口元を下げる矯正と同じで、
前歯を後方に下げることで開咬を改善させます。
親知らずを残しておくと、抜歯して作ったスペースを失うリスクがあります。

3.鋏状咬合と反対咬合

鋏状咬合,シザーズバイト

 

図のように奥歯が外側、下の奥歯が内側に向いて上下でかみ合わず、
鋏(はさみ)のようにすれ違ってしまっている嚙み合わせのことを鋏状咬合といいます。
鋏状咬合は、奥歯で起こることが比較的多いため、親知らずが引っ掛かって治療の邪魔になることがあります。

また、反対咬合(受け口)も同様の理由で奥歯の治療の妨げになることがあるため、
鋏状咬合と反対咬合は事前に親知らずを抜くことが多いです。
しゃくれ 受け口

まとめ

親知らずが矯正の妨げになる場合は、矯正治療をスムーズに進めるために、抜歯対象として考える方が良いでしょう。
親知らずは、一度痛みや腫れのトラブルを起こすと再発しやすいことや、
虫歯や歯周病も治療が困難で、治療してもまた再発するケースが多いです。
手前の第二大臼歯を巻き込んで虫歯になってしまうようなトラブルの可能性もあります。

親知らずを抜くか抜かないかという判断は、歯科医院での基本的な検査をして親知らずの状態を把握した上で、
しっかりと歯科医師と相談して決めましょう。
最後に、矯正治療についてご検討の方は、お気軽に無料カウンセリングからご相談ください。
※無料カウンセリングのweb予約はコチラ。
最後までお読みいただきありがとうございました。

【2023.2.12更新】続きはこちらからお読みいただけます。
「矯正治療で親知らずの抜歯は必要か?(その2)」

スタッフからのひとこと

歯科医師の髙田です。
少し遅いかもしれませんが、あけましておめでとうございます。
今年も渋谷矯正歯科に通ってくださる患者様に
よりよい矯正治療が行えるように考えて治療しますので宜しくお願い致します。

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