投稿日:2022.11.13
歯科矯正で睡眠時無呼吸症候群が治る?
こんにちは。渋谷矯正歯科歯科医師の髙田です。
睡眠時無呼吸症候群は、最近ではよくテレビなどでも紹介されており、知ってる方も多いと思います。
根本の原因によっては矯正歯科で対処できるケースもあるため、
今回は「歯科矯正と睡眠時無呼吸症候群」について詳しくお話していきたいと思います。
目次
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠時に無呼吸、もしくは低呼吸の状態が度々起こる病気のことです。
「閉鎖性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)」がありますが、
OSAの方が一般的によく知られている睡眠時無呼吸症候群です。
症状としては、寝ているときにいびきが急に止まり、10秒以上呼吸が止まる状態を1時間で5回以上繰り返します。
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきをかくことがほとんどです。
睡眠中の症状であることから、自分自身ではなかなか自覚できないため、
家族やパートナーからいびきを指摘されることで気付く例が多いです。
また、熟睡できず、睡眠不足が続くため、日中に異常に眠気があり、日常生活に支障が出てしまいます。
睡眠時無呼吸症候群は高血圧、循環器系疾患、脳卒中などの病気や、糖尿病などの生活習慣病とも関連があるため、
普段の生活で思い当たることがある場合は検査をおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は、空気の通り道である気道が塞がってしまうことで起こります。
気道を塞ぐ原因
- ・舌根沈下
- ・加齢による筋力の衰え
- ・肥満
- ・骨格的に顎が小さく後ろに下がっている
- ・鼻炎、鼻詰まり
- ・アデノイドや扁桃の肥大
気道を塞ぐ主な原因は舌根沈下にあります。
舌根沈下とは舌の根元が沈下してしまうことです。
舌根沈下が起こる原因には様々なリスク要因が起因しています。
主な要因としては肥満で顎の下や、首回りに脂肪がついて狭くなることや、
加齢による筋力の衰えにより寝ている時に舌根沈下が起こります。
本来、舌の位置は上に上がっていますが、舌の筋肉が低下して下顎に落ちている状態を低位舌と呼びます。
低位舌が習慣になってしまうと、舌根沈下が起こりやすくなります。
また、下顎や歯列が狭く、舌を置くスペースが狭い場合も舌が奥に沈下してしまいます。
顎の骨格が生まれつき小さい方や、歯列が狭い方は注意が必要です。
舌根沈下があると、「いびき」が症状として出てきます。
いびきを指摘された場合は寝ている時に気道が狭くなっている目安となります。
また、小さな子どもでも、口蓋扁桃肥大やアデノイド肥大が原因で睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。
鼻詰まりやいびきがあり、口呼吸気味であることや、
食事が飲み込みにくいなどの症状があるときは、アデノイド肥大や扁桃肥大が疑われます。
睡眠時無呼吸症候群による弊害
睡眠時無呼吸症候群が続いてしまうと、睡眠不足で日中に眠気が起こりやすくなり、集中力が落ちるため、
昼間の眠気は車の運転や仕事などで危険が伴うこともあります。
また、呼吸が停止することを繰り返すため、脳に十分な酸素が行き届かず、低酸素状態とストレスから、
高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの大きな病気につながることもあります。
下記の症状がある場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
- 1. いびき
- 2. 夜に熟睡できない・夜に目が覚める
- 3. 朝スッキリ起きれない
- 4. 昼間に眠気がある
- 5. 仕事や運転、学業に支障が出る
- 6. 頭痛
- 7. 倦怠感
- 8. 生活習慣病などの様々な合併症につながる
歯科でチェックする睡眠時無呼吸症候群のリスク要因
1.下顎が小さくないか
骨格的に小さい顎の場合に舌根沈下が起こりやすくなります。
下顎が異常に小さい場合は顎変形症(下顎後退症)の場合もあります。
2.歯列不正で舌の置き場が不足していないか
歯並びが悪く、乱杭歯や上顎前突、開咬などの不正咬合が見られる場合、
舌の置き場が狭くなっていることがあります。
3.扁桃腺、アデノイドに肥大が見られないか
アデノイドは上咽頭のリンパ組織です。
アデノイド肥大は小さい子どもに多く見られる病気で、
鼻からの空気が通りにくくなるため鼻詰まりやいびき、口呼吸をする傾向があります。
また、アデノイドが肥大すると、常にお口がおぽかんと開いている状態になりやすく、
特徴的な顔立ちになる傾向があります。
この顔立ちのことをアデノイド顔貌と呼びます。
口呼吸と不正咬合はアデノイド顔貌につながりやすいので、早い段階で見つけやすくなります。
4.口呼吸になっていないか
特に小児の口呼吸は、顎の成長に関わるので注意が必要です。
口呼吸は、歯並びや嚥下機能、気道にも悪影響を及ぼすことがあります。
口呼吸の気道への悪影響
・アデノイド肥大
・扁桃肥大
・気道閉鎖
・鼻腔湾曲
・慢性鼻炎
・顎関節症
・姿勢が悪くなる
・不正咬合
歯科で行う睡眠時無呼吸症候群の治療法
治療法は症状の重症度や、根本の原因によって治療方法が違いますが、
歯科での睡眠時無呼吸症候群の治療は4つ方法があります。
①マウスピースを作る方法
マウスピースを作り、後退した下顎を前方へ誘導させる方法です。
付けた時に、下の顎が前に出るようにマウスピースを作成します。
顎が前に出た状態を固定することができるため、舌を収めるスペースができ、気道も確保できる方法です。
この方法はマウスピースを装着するだけで簡単にできるので、睡眠時無呼吸症候群の初期治療に適しています。
②歯列矯正をする方法
歯列矯正で歯を外側に拡大させ、歯列を広げる方法です。
歯が内側に入っていて歯列の凸凹が強い方にワイヤーなどの矯正装置を付けて
歯を外側に持っていき、同時に凸凹を取る方法です。
この治療は歯の移動が必要なため、時間がかかります。
短時間で改善できるものではないので即効性はないですが、
歯列不正が原因で舌が沈下している場合には将来的にも、歯列矯正を行った方が良いと思います。
③口腔筋機能療法(MFT)
口周りの筋力の衰えを、トレーニングで改善させる治療方法です。
口腔筋機能療法(MFT)で口周辺の唇や頬、舌の筋肉を鍛えることで、
呼吸と嚥下の機能も充実させることができます。
口呼吸やいびきの改善につながります。
④外科手術で顎を前に誘導する方法(外科的矯正治療)
顎変形症(下顎後退症)の場合は外科手術の対象になります。
顎の形態を外科手術で修正する治療です。
全身麻酔下で顎を切り、直接顎を前方に移動させてプレートで固定します。
入院期間が長く、費用もかかります。手術による体の負担もあるため、
根本的な改善や、見た目を大きく変えたい場合に行います。
※当院の治療内容の詳細はこちらのページをご確認ください。
まとめ
今回は歯科矯正と睡眠時無呼吸症候群についてお伝えしました。
口周りの筋肉の低下や骨格、歯並びの異常に睡眠時無呼吸症候群の原因がある場合もあるため、
矯正歯科で治療して改善できる症例が少なからずあります。
歯並びだけでなく、いびきがある方や、口呼吸が気になるなどでお悩みの方も当院にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病に関わっていることもあります。
過度な飲酒や、肥満を招くような食生活にも気をつけるようにしましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
※歯列矯正についてのお悩みは無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。
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