投稿日:2023.7.27
矯正前にマウスピースを使うケースについて
ブログをご覧のみなさん、こんにちは♪
渋谷矯正歯科歯科衛生士のちんです!
みなさんワイヤー矯正を行う前に、マウスピースを使用する場合があるのを知っていますか?
「ワイヤーもマウスピースもどっちも使う事ってあるの??」と、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回は矯正前に使うマウスピースの役割や目的について詳しくご説明していきます。
実際の症例もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください★
目次
どんな時に矯正前にマウスピースを使うの?
矯正を始める前にマウスピースを使うケースは、ある特徴の噛み合わせの改善のために使用されることがあります。
その噛み合わせの特徴は、深く噛み込んでいる「過蓋咬合(かがいこうごう)」と呼ばれている不正咬合です。
矯正治療前にマウスピースを使用して、過蓋咬合の改善を促すことで、その後のワイヤー矯正のスピードを早くすることができます。
噛み合わせが深い「過蓋咬合(かがいこうごう)」とは?
過蓋咬合(かがいこうごう)は、上の前歯が下の前歯を覆ってしまうほど噛み込みが深い噛み合わせのことです。「ディープバイト」とも呼ばれています。
正常な噛み合わせは、上の前歯が下の前歯の1/3程度を覆う状態ですが、過蓋咬合の場合は上の前歯が2/3〜下の前歯が全く見えないほど深く噛み込んでいる場合もあります。
過蓋咬合の原因は、遺伝や口呼吸などの悪習癖、抜けた歯を放置してしまうことによる歯の挺出(噛み合わせが無いことで歯が伸びてくること)などです。
過蓋咬合は基本的には裏側矯正や表側矯正のようなワイヤー矯正で矯正治療をします。
なぜ過蓋咬合に矯正前のマウスピースが必要なの?
過蓋咬合は噛み合わせが深いため、このまま矯正装置を付けてしまうと、裏側矯正(リンガル矯正)の場合は、上の前歯の裏側につける装置に下の前歯が当たってしまいます。
歯の移動の妨げになってしまうことや、装置の脱落が起こるため、矯正治療がスムーズに進められません。
下図のように噛み合わせを上げるために部分的なマウスピースを作製します。
矯正前のマウスピースの役割とは?
上の前歯部の裏側に、部分的なマウスピースを装着すると、下の歯とマウスピースが当たり奥歯の歯同士が噛まなくなり、噛み込みが深すぎる部分を意図的に高くします。
このように噛み合わせを高くする処置を「バイトアップ」と呼びます。
「バイトアップ」は歯の噛み合わせ部分に直接レジン(歯科用プラスチック)を付けて行うこともありますが、マウスピースで行うと、取り外しができるため、口の中の清掃もしやすく、食事をしやすいなどのメリットがあります。
マウスピースを装着して噛み合わせを高くすることで前歯の接触を防ぎ、さらにゴムかけ(顎間ゴム)を併用して、過蓋咬合の噛み合わせを浅くするように誘導していきます。
マウスピースの装着とゴムかけを行うのは、基本的に患者様ご自身です。
決められた時間の間継続して装着しておくことや、ゴムかけはゴムの交換をする必要があるため、長時間付け忘れたり、ゴムの交換しを忘れたりしてしまうと治療の効果が十分に得られなくなってしまうため注意が必要です。
ゴムかけについて、別の記事でも詳しくお伝えしています。使用時間や、取り扱いのコツについてまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。
矯正前にマウスピースを使用する期間
マウスピースを使う期間は個人差がありますが、早くて2〜3ヶ月、長くて1年ほどになります。1日20時間以上使用してもらうことが一般的です。
基本的には食事や歯磨きをしている時以外はできるだけ装着していただきます。
付け忘れがあると、治療期間が延びてしまう原因になります。歯並びを早く改善するためには、しっかり時間をかけてマウスピースを使うことが大切です。
お困りのことがありましたら、当院のスタッフにいつでもご相談ください。
マウスピースを使用した過蓋咬合の改善症例
実際に過蓋咬合で矯正前にマウスピースを使用した症例をご紹介します。
①マウスピースを装着している状態
下図の写真を見て頂くと、少し分かりづらいですが、上の前歯の裏側に部分的なマウスピースを装着しています。
前歯の裏側にマウスピースが装着されると、奥歯が当たらないように噛み合わせが高く調整されます。
横からの角度で見て頂くと、噛み合わせが上がって、奥歯が接触していないことが分かります。
さらにマウスピースを付けた状態で、ゴムかけのための装置を奥歯の歯の表面に付けて、ゴムかけをしています。
下図のように奥歯にゴムをかけをすることで、上下の噛み合わせのズレを整えて、垂直的に噛ませるように誘導する力が加わります。
マウスピースの装着とゴムかけを行うことで過蓋咬合の深く噛み込んでいる状態を改善させる仕組みです。
マウスピースとゴムは外して食事や歯磨きをすることができます。
ゴムは使っていくうちに劣化したり伸びたりして強度が落ちていくため、1日2〜3回は交換するようにお願いしています。
この状態から、噛み合わせがどのように変化をしていくのかを見ていきましょう。
②初診から3ヶ月後の経過
まずは初診時〜1ヶ月後の経過の写真を比較して見ていきます。
【初診時】
↓
【1か月後】
1ヶ月後には少し下の前歯が見えて、噛み合わせの深さが変わっていきていますが
まだ奥歯が浮いているため、マウスピースとゴムかけを継続していきます。
さらに2〜3ヶ月後の経過です。
【2ヶ月後】
2ヶ月後には前から見た時の下の前歯がさらに見えるようになりました。
【3ヶ月後】
3ヶ月後には写真で見ても分かりやすく噛み合わせが変化しています。
上図の状態まで噛み合わせが浅くなると裏側矯正のブラケット装置を付けても装置に歯が当たらないため、担当の歯科医師の判断で裏側矯正に移行していくことができます。
まとめ
今回は矯正治療を始める前にマウスピースを使うケースについてお伝えしました。
過蓋咬合は、基本的にワイヤー矯正が必要ですが、噛み合わせの深さから矯正装置に当たってしまうことがあるため、うまく治療を進めることができ無い場合があります。
矯正前にマウスピースを使い、噛み合わせを高くして、さらにゴムかけをすることで深く噛み込んでいる噛み合わせを浅くする効果を得ることができます。
マウスピースとゴムかけを頑張ることで、ワイヤー矯正をスムーズに進めることができます。
しかしゴムかけと、マウスピースは自分で使用方法と使用時間を守る必要があるため、付け忘れがあると効果が得られません。
一手間かかりますが、スムーズにきれいな歯並びにしていくために、頑張って習慣にすることが大切です。
渋谷矯正歯科って、どんな歯医者さん?
渋谷矯正歯科では、裏側矯正を専門に、ハーフリンガル・
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